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人生を注ぎ込んだ場所―陽和リトリートという挑戦
観光
2026.05.01
陽和リトリート(一棟貸別荘・ヴィラ)をつくるまで
――「料理人」から「場づくり」へ、私が辿ってきた道
振り返れば、遠い道のりでした。
けれど、そのすべての経験が、今のこの場所に結びついていたのだと思います。

フランス料理の世界から始まった私の旅
私の原点は「料理」でした。
調理師専門学校を卒業後、西洋料理の老舗で修行し、フランスにも渡りました。
星付きのミシュランレストランをいくつも巡り、皿の上に表現される芸術と真剣に向き合い続ける日々。
帰国後は、都内のフレンチレストランで経験を重ね、六本木ヒルズや表参道ヒルズのレストラン立ち上げにも携わらせていただきました。
一皿に、空間に、時間に、感動を込める。その仕事は、いつも誰かの「記憶」に触れるものでした。

料理から「空間」へ ~人が集まる場所をつくるということ~
料理人としてキャリアを積む中で、徐々に「空間」そのものの可能性に魅せられていきました。
食を囲む場、時間を共有する場所。それが美しく、心地よく、人の記憶に残るものであればあるほど、その価値は何倍にもなる。
そうして私は、プロデュースの道へと進むことになります。
カフェやレストランの企画から、道の駅や地域施設の立ち上げ、商業施設のブランディングまで──
MD計画、商品開発、ゾーニング、図面の読解、什器選定、クリエイティブディレクション、販促企画…
気づけば、空間づくりの全体を束ねるプロジェクトマネージャーとして、多くの現場に携わっていました。

館山との出会い
そんな日々の中、ある出会いがありました。
信頼する人からの紹介で訪れた千葉県・館山。東京から少し離れるだけで、こんなにも自然が豊かで、人があたたかい。
「ここなら、自分のすべてを注げるかもしれない」
そう直感しました。
仕事の合間に何度も館山を訪れるうちに、私は一軒の古民家と出会いました。
草木が生い茂り、アプローチは建物までの道のりをいっそう長く感じさせるほど。けれど、その先に佇む家は、時を超えた存在感を放っていました。
玄関を開けた瞬間、ふわりと漂うヒノキの香り。しばらく人の手が入っていなかったはずなのに、その空気はどこか清らかで、静かに歓迎してくれているようでした。
目に映るのは、今では手に入らない立派なヒノキの大黒柱、重厚な梁、繊細な欄間。時間の経過が刻まれているのに、むしろ建物は誇らしげに自らの魅力を語っているように見えました。
その瞬間、私は確信しました。
「この家を、自分の人生の集大成となる“場”にしよう」
ここからすべてが始まるのだと。

“貸別荘”という新しい表現方法
ホテルでも、飲食店でもない。
「宿泊×体験×空間デザイン」のすべてを融合できる形として、貸別荘という選択肢が自然と浮かび上がりました。
設計、家具、照明、空気の流れ、素材、植物、アート……
これまでの経験すべてを投影するように、私はこの空間づくりに没頭していきました。
手探りで、一つひとつのパーツを選び抜き、設営にもときに自ら手を動かし、職人さんたちと向き合いながら進めた約1年間。
簡単な道ではなかったけれど、苦しさよりも、未来を描く喜びの方がずっと大きかった。

陽和リトリート、という名前に込めた想い
こうして生まれたのが、**「陽和リトリート」**です。
“陽だまり”のように、心と体があたたまり、”和”のぬくもりに包まれる場所。
施設のロゴは扇子をモチーフに、「朝から晩まで陽の動きに寄り添い、静かに癒されてほしい」という想いを込めました。
香るヒノキのサウナ、空に溶けるようなジャグジー、炎を囲むファイヤーピット、季節を映す坪庭と日本庭園。
どれもが、“ただ泊まる”以上の意味を持つ空間です。

整い、癒え、そしてまた還ってこられる場所
陽和リトリートは、私にとって”作品”であり、”祈り”です。
この場所を訪れた方が、日常を離れ、自分と静かに向き合う時間を持てますように。
一緒に火を囲んだ家族のぬくもりを、ずっと覚えていますように。
またいつか、「帰りたくなる場所」として、思い出してもらえますように。
ここ館山で、陽和リトリートは、これからも育っていきます。
唯一無二の場所を目指して──
